長い冬のあいだ彼女は何冊も本を読む。他には何もせず、冬眠するようにただ本を読み続ける。たとえどこか遠くに戦争が起きても、彼女は本を読み続ける。食事をし、本を読む。そしていよいよ本を読むことに疲れたら、静かな音楽を少しだけ聴く。これは、そんなときのためのレコード。つかのまの32分。A面を聴いてB面を聴き終えたら、さあ、また本を読みましょう。どうせ外は雪ですから。
〈ルーフトップ・レコード〉というレコード屋をご存知でしょうか。といっても、「Borelo 世界でいちばん幸せな屋上(吉田音・著)」という物語に登場する架空の店なのですが、その店に陳列されてあるレコードには上のような文章が添えられています。聴きたくなりませんか、このレコードを。
SOUNTRA COFFEE AND MUSIC